【中編】ひとつの愛
「流湖ちゃんっ♪」
すらっと長身で、黒く輝くサラサラの髪が色白を引き立ててる美人な流湖ちゃん。
あたしの大親友。
「ありゃ、まだ終わってないの?」
図書室へと入って来てあたし達の前に山積みされてるカードの一枚を取る。
そうなのー!
碧君が仕事しなかったからなんだよっ!
必死に訴える目。
よしよしと頭を撫でた流湖ちゃんに思いが通じたと思ったのに……。
「碧。愛姫を家まで送り届けてね?」
「……チッ。
へいへい。わかったよ、流湖さん」
チッ!?
舌打ち~~~!?
しかも流湖ちゃんまで何?
碧君と一緒に帰れって?
えぇっ!?
ちょっ、ちょっと待ってよーぅ!
アタフタするあたしを無視して会話する2人。
笑いながら碧君をバシバシ叩き、そして碧君も、
あたしに見せた事のない笑顔で笑う。
碧君の耳元で何かを囁いた瞬間、耳を押さえながら、ボッと赤くなった。