【中編】ひとつの愛
「碧君~!」
本の整理をする俺の後ろから、パタパタと可愛い足音が近付いてくる。
気づかれないように深呼吸をした俺は、ゆっくりと振り返った。
「この本、どこだっけ?」
そう俺に本の名前の書かれているカードを見せて、愛姫が首を傾げた。
「そこの棚の上から3段目」
「あ……そっか。ありがとっ」
一瞬、曇った顔を見せた愛姫が、にっこりと微笑んで行ってしまった。
最近、こんな事が多い。
今までなら俺に聞かず、自分でしようとして…失敗するってーのがほとんどだったのに。
あの告白以来、ちょっとした事でも俺に話しかけてきてさ。
正直、どう対応していいのかわからねぇ。
俺は俺で変に意識しちゃってるし。
愛姫は何か変だし。
変+変=もっと変。
になっちまってる気がする……。