【中編】ひとつの愛
「はっあ~~~」
やっぱり今日も大きな溜息を吐く。
少し離れた場所では愛姫が尻餅を付いて、そのままの体勢で固まっている。
カード整理の手を止め、立ち上がりその場所へと向かい、散乱した本を一冊ずつ拾い始めた。
「あ、碧君……」
「何してんの?」
えへへ。と可愛く笑った愛姫を見て、また溜息が零れた。
「上のは俺が取るって前から言ってんだろ?」
「んー。そうなんだけど……出来るかな? って思ってね?」
「全然、出来てないから」
「だよねー……」
そう言いながら、散らばった本を見て笑う愛姫。
「わかったなら、次からは言えよ?」
「……」
愛姫の顔を見ると驚いた顔をして俺を見つめていた。
「何?」
「何か…碧君が優しくて気持ち悪い」
はぁ!?
んだ、それ。
「今までなら、俺がする。とか言っちゃって。あたしの事を邪魔って顔してたのに」
指で、目尻を吊り上げ俺の顔マネをしながら言う。