【中編】ひとつの愛

距離-MAKI




図書室に1人残された。



目にはいっぱい涙が溜まって、周りには沢山の本が落ちていて。

いつもなら、面倒くさそうにでも助けてくれるのに。



今はいない。



碧君は、呆れちゃったのかもしれない。

いつまでもハッキリ答えを出さないあたしに。



目だって逸らされちゃうし。

少しでも触れると、サッと離れてしまう。

そんな碧君との距離が寂しくて、今までよりも話しかけていたのに、碧君との距離はどんどん広がっていくだけ。



どうしていいかわからなくて。

『優しくて気持ち悪い』とか言ってみた。



言い返してくれると思ったの。

いつもみたいに、うるさいとか。くだらない事言ってないで早くしろ。とか。



それなのに、碧君から返ってきた言葉は違った。



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