【中編】ひとつの愛
少しずつ小さくなる足音。
シーンとした図書室。
不安になった。
もう碧君が、今までみたいに隣に居なくなるんじゃないかって。
もう碧君は、あたしの事なんて見てくれないんじゃないかって。
キスされた時、もっと。そう思った。
好きそう言われた時、嬉しい。そう思った。
だけど、あたしは恋なんてした事なくて。
理想はパパだし。
好きって気持ちがよくわからなかった。
家族を愛するみたいな気持ち。
それを恋というなら碧君なんて昔から好きだった。
だけど、皆はそんな気持ちじゃないって言うから。
それをね。
わかろうと思ってただけなんだよ?