【中編】ひとつの愛



「ごめん。意地悪言った。だから泣くなよ」



そう哀しそうな顔で言う碧君が、たまらなく愛しくて。



ねぇ、この感情が好きっていう事なのかなぁ?



それだったら、あたしはずっと前から碧君を好きだったのかもしれないよ。

だって、碧君は小さい頃から意地悪で冷たかったけど、最後はいつも優しくしてくれたもん。



「碧君……」

「ん?」



あたしの頭をポンポンと叩きながら首を傾げた碧君。



「あたしね?」

「うん」

「碧君が好きなのかなぁ?」



そう言うと、一瞬驚いた顔をした碧君は困ったように笑い、



「好きなんじゃね?」



そう答えてくれたんだ。



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