【中編】ひとつの愛
「橘先生って生徒会の顧問だったの?」
「えっ? あぁ、うん」
私を見上げる愛姫に気付かれないように、笑ってごまかした。
バレちゃ駄目。
この気持ちは、絶対に。
「流湖ちゃんに、愛姫ちゃん!」
「あ、栗野さん」
一瞬、心臓が止まるかと思った。
あまりにもタイミングが良すぎて。
先生の事を考えてる時に、1番会いたくない相手。
「どうしたの? 栗野君」
咄嗟に嘘で固めた笑顔。
別に恋愛は自由だ。
ただ……
好きになる相手を間違えた。
好きになったのは、好きになっては駄目な人。
私達は、教師と生徒なんだから。