【中編】ひとつの愛
生徒会室へ入り、資料を机の上に置くと同時にチャイムが鳴り響く。
ふぅーっと小さく息を吐いた。
何だか疲れた。
今日は、よく先生の事を思い出す日だし。
もういいや。
次サボろ。
そんな事を考えながら、近くにあった椅子に座った。
「サボるの?」
突然、後から聞こえた声に体がビクッとした。
振り返ると、
そこには私を見下ろす橘先生。
「せっ……先生?」
「山口さんがサボリね」
山口さんか。
もう2人きりになっても
“流湖”
って呼んではくれないんだ。
「橘先生は何してるんですか?
私に資料運ばせたのに、ここに居るなんて」
「会いたかったからって言ったら?」
嫌味っぽく言ったのに、ニヤッと笑い言い返された。
先生は、すぐはぐらかす。
そして私の反応を見て楽しんでるんだ。
何が本当で。
何が嘘なのか。
わからない。