【中編】ひとつの愛
「そんなに睨まなくても」
苦笑いする先生に言われて睨んでた事に気が付いた。
パッと目線を逸らす。
「……る」
「あれ? 授業始まってますよ?」
先生が何かを言おうとした時、ガチャと開いたドアの先には不思議そうな顔をした生徒会長が居た。
「あぁ、山口さんに資料を運んで貰ったんだよ」
「え、あーこの資料が必要だったんで助かります」
「そうか。
あ、山口さんありがとう。
もう教室へ戻りなさい。
生徒会会議、今からか?」
「そうなんですよー」
先生はスラスラと嘘を並べて、私なんて居なかったかの様に生徒会長と話し出した。
私は一礼して、生徒会室を出た。
“会いたかったって言ったら?”
頭の中でぐるぐると回る言葉。
冗談で言わないで欲しいよ。
どうして、今更そんな事言うのよ。