【中編】ひとつの愛
散らばったカードをしゃがんで拾う碧君。
それを見て慌て拾う、あたし。
もう、どうしてこう鈍臭いんだろう?
何だか泣けてきたよ。
無言でカードを拾う碧君の背中をジーッと見つめた。
碧君もうんざりしてるんだろうな。
こんなあたしに……。
「手」
「てぇ?」
突然振り返った碧君は、やっぱり大きな溜息をついてて。
あたしを睨んだ。
「てぇ? じゃなくて。
手動かせって」
「へ? あぁ! うん」
そばにあるカードをまた拾い始めた。
「ごっ、ごめんね?」
俯きながら言う、あたしに『別に』とだけ返す。
全部拾い終わったカードを軽々と持ち、図書室を出て行ってしまう碧君を眺めてるだけだった。
「あたし……駄目だなぁ」
机にバタッと倒れ込み、自分自身に大きな溜息。