【中編】ひとつの愛



栗野と話してからの俺は変だ。


『会いたかったからって言ったら?』

なんて言ってしまうし。



どうしたんだ、俺は?



『会いたかったからって言ったら?』



これは、本心かもな。



流湖と話せて、嬉しいと感じる俺がいる。

まだ俺を見て、顔を赤くする流湖がいる。


俺は、何を思ってんだよ。



“教師と生徒”



流湖は、この高校生活という狭い枠の中で勘違いしてるんだ。



一種の憧れを“恋”だと。



本気になんてしてはいけない。

本気なんかなるわけがない。



流湖の事を考えると、自分自身に俺は“教師”だ。

と言い聞かせるように何度も何度も繰り返して思う。



次、流湖からきた時。

俺は“教師”でいれる自信がないのかもしれない。


だから何度も何度も、自分自身に言い聞かす。


< 94 / 159 >

この作品をシェア

pagetop