【中編】ひとつの愛
栗野と話してからの俺は変だ。
『会いたかったからって言ったら?』
なんて言ってしまうし。
どうしたんだ、俺は?
『会いたかったからって言ったら?』
これは、本心かもな。
流湖と話せて、嬉しいと感じる俺がいる。
まだ俺を見て、顔を赤くする流湖がいる。
俺は、何を思ってんだよ。
“教師と生徒”
流湖は、この高校生活という狭い枠の中で勘違いしてるんだ。
一種の憧れを“恋”だと。
本気になんてしてはいけない。
本気なんかなるわけがない。
流湖の事を考えると、自分自身に俺は“教師”だ。
と言い聞かせるように何度も何度も繰り返して思う。
次、流湖からきた時。
俺は“教師”でいれる自信がないのかもしれない。
だから何度も何度も、自分自身に言い聞かす。