【中編】ひとつの愛
「やめて下さい」
唇が離れ少し赤い顔をした流湖は、力なさげに呟いた。
そして俺に背中を向ける。
「嫌だった?」
普通は嫌だよな?
わかってる。
なのに、俺は何してるんだ?
自分で自分がわからない。
流湖は切なそうな表情を浮かべた顔で振り返り、一瞬合わせた目を逸らすと前を見直し
『碧く……ん?』
戸惑った声を出した。
柏原の元へと寄り話しだした流湖を見て、生徒会室のドアを静かに閉めた。
柏原に今のを見られたかもしれない……。
そんな事よりも、俺は何をしたんだ?
その気持ちの方が大きかった。
もし、俺が教師じゃなくても、ただの男だったとしても……
俺を愛してくれますか?