宝石よりも
女の子は一瞬きょとんと固まったあと、すぐにはっとした顔をしてごめんね、と口元に手をあてた。
「構わないよ」
美夜がしょんぼりしたのでくすりと笑った。
「じゃあさ、名前つけてくれない?」
「名前……?」
「うん、俺の名前」
美夜は顔をあげて、しばらく悩んでいた。
「じゃあ……カイ」
俺はその言葉にぴくんと反応した。
………なんで?
美夜はにっこりとした。
「うん、決まり。怪盗のカイ」
「俺、泥棒だよ?」
「いいの、どろちゃんとかぼうちゃんなんてカッコ悪いもん」
美夜が《カイ》を気に入ってるようなので、俺は笑顔ではいはいと頷いた。