宝石よりも
今夜も美夜の部屋のベランダに降り立つと、すでに窓が開いていた。
「感心しないなぁ」
そう言って入ってきた俺の傍に、美夜は不思議そうに近づく。
やっぱり、何のこと?って顔をしている。
「鍵はかけておいて。俺以外にも泥棒はいるんだからさ」
美夜の頭に手を乗せて言うと、美夜は今そのことに気づいたらしく、少しうつ向いて大人しく頷いた。
本当に、警戒心がないと思うんだよね。
昨夜と同じように向かい合って座り、また他愛もないことを話す。
「どうして俺を招くの?」
今日は一番疑問に思っていることを聞いてみた。
泥棒だとわかっているのに招き入れるなんて、おかしいじゃん。