宝石よりも
美夜は恥ずかしそうに微笑んだ。
ふわりと優しい、綿飴みたいな笑顔。
「心が許せる、友達が欲しかったの」
俺は黙って美夜の笑顔を見つめた。
「学校じゃ、みんな私に遠慮するの。私の家、お金持ちみたいだから」
へぇ、と俺は目を丸くした。
「じゃあ、美夜はお嬢様なんだ」
だからこんな高層マンションの最上階に、一人で住めたりできるんだ。
「ごめんね、気を悪くした?」
美夜が申し訳なさそうに眉を下げた。
「美夜がお嬢様であることは、何も悪くないよ」
美夜はまた、綿飴みたいな顔をした。