宝石よりも
今夜も私は窓の傍にあるベッドの上で、外を眺める。
待っているのは泥棒のカイ。
私を救ってくれた人。
久しぶりに年が近い人と話をして、思わずまた来てくれるようにお願いしてしまった。
それから彼は毎晩私のもとへ訪れる。
私が渡す、お礼を受け取って。
カイを初めて見たときから、彼を綺麗だと思った。
男に押し倒されたまま、彼を見上げたとき。
煌めくナイフを男につきつけてほんのり笑っていたカイ。
恐ろしい光景だったはずなのに、闇夜に浮かぶカイは綺麗だった。
毎晩私のもとへ来るときだって。
月の光をタキシードみたいに体に纏って、ふわりと私の部屋に現れる。
不思議なカイ。