宝石よりも
いつも通り美夜をベッドに運ぶ。
そっと寝かせてやると、美夜はむくりと起きあがった。
なぜか、悲しそうな表情を浮かべて。
そして、俺と目目が合うと、決まり悪そうに目を逸らした。
「あのね、カイ。私、あなたに謝らないといけないの」
急にそんなことを言い出す美夜に、眉をひそめた。
「謝る?」
美夜はコクンと頷いた。
悲しそうに口を開く。
「実は、今日はもうお礼に渡せるようなものがないの。ごめんなさい……」
ぺこりと頭をさげて詫びる美夜。
俺はひそめた眉をふっと緩めた。
なんだ、そんなこと。
てっきり警察でも呼んでしまったのかと思った。