宝石よりも
俺は申し訳なさそうにうつ向いている美夜の頭を優しく撫でた。
「いいよ、お礼なんてなくても」
本当は、お礼なんてそんなもの、いらないんだよ。
美夜が俺に会いたいなら、いつでも会いに来てあげる。
美夜の気がすまなそうだったから受け取ってただけなんだから。
「でも、それじゃカイに悪いよ」
ほーらね。
そう言うと思った。
「そんなにお礼がしたいなら」
俺は美夜のあごに軽く手をあて、上を向かせた。
何だろう、と俺の言葉の続きを待つ美夜は、真っ直ぐに俺を見ている。
そんな美夜をふっと笑ってから、美夜の柔かな唇をそっと奪った。