宝石よりも
俺が離れると、美夜は目を丸くして固まっていた。
「……次からはこれでいいよ?」
耳元で囁くように言うと、美夜は我に帰り、さっと赤くなった。
「もしかして、初めてだった?」
美夜は何も言わずにただうつ向いている。
ということは、本当に初めてだったんだ……
すまなく思いながらも、どこかで喜んでいる自分がいた。
「じゃあね、美夜。また明日」
頬赤く染めて動かなくなってしまった美夜に笑顔を向け、窓から外に飛び出した。