宝石よりも
美夜は横断歩道を渡るときにおばあさんを助けたり、落とし物を拾って交番に届けたり、困っている人を見つけると自分から話しかけたりしていた。
いろんな寄り道をしながら、やっとたどり着いたレストラン。
「ねぇ、美夜」
少しぐったりした声で美夜に話しかけると、美夜は呑気にグラタンに夢中になっていた顔をあげた。
「美夜は何でそんなにおせっか……優しいの?」
危ない、お節介って言ってしまうところだった。
美夜はグラタンを口に含みながら首を振った。
「優しいわけじゃないの、私」
意味がわからなくて、今度は俺が首を傾げた。