宝石よりも
「自分のためにやってるんだよ?」
……自分の、ため?
「自分がやったことは、必ず違う形で帰ってくるの。良いことも悪いこともね」
だから私のは優しいとは違うの、と美夜は笑った。
自分のした良いことが自分に返ってくる?
まさかそんなきれいごと……
「あれ、君たち……」
ここのレストランの制服を着た男が、俺たちのテーブルのところに来て立ち止まった。
「あ……」
その男の顔を見て、驚いた。
美夜と俺が初めて会った夜に、美夜を襲っていた男だった。
「この間は、本当に……」
申し訳なかった、と言って頭を下げてきた。
バカじゃないの、お兄さん。そのくらいで許されることじゃないんだけどな。
「いいんです。私はあなたが反省してくれてるだけで、十分ですから」
……美夜以外の奴だったら、ね。