宝石よりも
部屋の前まで着て、美夜がガチャリと鍵を開けるのを見守った。
「ありがとう、カイ」
鍵が開くと、振り返ってお礼をいってきた。
「いいよ」
俺が笑顔で返すと、美夜はなぜかおかしそうに笑った。
「なんか不思議。窓からのお別れじゃないなんて変な感じだね」
そりゃあ、今日は窓から出ていくわけにはいかない恰好してるしね。
美夜は改めて俺を見て、おやすみ、と言って中に入ろうとした。
「美夜」
美夜がドアノブに手をかけた瞬間、名前を呼んだ。
美夜は俺の声に振り返る。
「……んっ」
振り返った美夜に口づけた。
いつもより長く、唇を重ねる。
ゆっくりと美夜から離れると、美夜は驚いた顔をして、すぐに赤くなった。