宝石よりも
音もなく玄関へ歩み寄ると、男が女の子の上に乗って襲っていた。
どうやら、俺のことに気づいていないらしい。
気づかれないようにしたんだけど、ね。
そっと懐からナイフを取り出し、男につきつけた。
「ねぇ、何してんの?お兄さん」
俺の声に、男が驚いて顔を上げた。
女の子も押し倒されたまま涙目で俺を見上げている。
「な、なんだお前!」
はは、動揺してる動揺してる。
面白い。
「何って?その子の彼氏だよ」
ね?と笑顔で女の子に確認をとる。
女の子はきょとんとしていたが、すぐにコクコクと懸命に頷いた。
「だからさ」