宝石よりも
カイが出ていってしまったあとの部屋で、カイからもらった貝殻を見つめた。
私の手のひらの上で、小さなピンク色の貝殻がコロンと転がる。
……綺麗。
カイからもらった初めての贈り物が、こんなに綺麗で可愛いものなんて嬉しい。
私は嬉しくて、貝殻が壊れてしまわないように気をつけながらそっと握りしめた。
安心、する。
そっと、カイが消えていった月の浮かぶ闇夜を見上げた。
ねぇ、カイ。
カイが来てから、眠れない夜は
もうなくなったの―――