宝石よりも
「うわぁ、海!」
穏やかに波打つ、青く透き通った海。
ゼリーのような、透明感。
前にした美夜との約束通り、美夜を海に連れてきてやった。
「すごいすごい、ねぇカイ!すごい!」
靴を脱いで、子どものように裸足で砂浜を駆け回る美夜。
無邪気な笑顔が、太陽よりも眩しい。
目眩がするほどに。
「あ、貝殻!」
俺のそばに駆けよってきた美夜が、足下にしゃがみ込んでなにやらつまみあげた。
嬉しそうに見せてきたのは、真っ白の、綺麗な貝殻。
「はい、カイにあげる」
ぎゅっと貝殻を握らされて、俺はきょとんとした。