宝石よりも
「七海はどうすんだよ」
直樹はぎりりと手を握りしめて俺を睨んでいる。
「こんな女には会うくせに、七海には会わないのか!」
「…………」
押し黙る俺に、直樹は俺の肩を掴んで強く揺すった。
「七海はお前に、ずっと会いたがってるんだぞ!」
俺は直樹の腕を振り払い、直樹を強く突き飛ばした。
美夜のかすかな悲鳴と、直樹の砂浜に叩きつけられる音が重なった。
「しつこいよ」
固まっている美夜の腕をぐいと引き寄せ、直樹を残して砂浜をあとにした。
美夜は心配そうに何度か直樹を振り返っていたが、俺の機嫌が悪いのに気を使ってか、大人しく俺に引かれていった。