宝石よりも
うとうとしながらカイを待っているうちに、本当に眠ってしまったらしい。
そっと揺り起こされて目を開くと、いつものカイがそこにいた。
いつも通りの、微笑みの。
「眠いの?」
こくん、と頷くと、カイはからかうように笑った。
「じゃあ、俺は帰ろうかな」
出ていくフリをするカイの服の裾を、フリだとわかっていても掴んでしまった。
「行かないで」
私がそう言えば、カイは大人しく私の隣に腰を下ろした。
そしていつもみたいに、私にキスしようと顔を近づけてきた。
綺麗なカイの顔が近づいてきて、ドキドキに胸が締め付けられるのと同時に、かすかに痛んだ。
カイと唇が重なる少し前。
私は思いきって口を開いた。
「七海さんって、カイの何なの……?」