宝石よりも
「美夜……」
窓から出ていくカイが、去り際に私の背中に向かって私の名前を呼んだ。
震える胸を抑えて、きゅっと目を瞑った。
沈黙という名の静寂が二人を包み込む。
しばらくカイは動かずにいたけど、やがてそっと窓を抜けていった。
静かに閉まった窓を振り返ると、もうカイはそこにはいなかった。
「……っく」
これで、いいよね。
カイは私から解放されたんだから……
本当に大切な人のところに、いけるんだから……