宝石よりも
海の雫、貝の欠片
ザザン……
浜辺にひとり立った俺は、無気力に波打つ海を眺めていた。
眩しい光も気にならないほど。
『帰って……』
昨夜、美夜に言われたあの言葉。
俺らしくもなく、傷ついたのかも。
あの部屋にも、しばらく行けそうにない。
どうしてこんなに傷ついているんだろう。
……わからない。
(もう、潮時かな)
しばらく海を眺めたあと、そっと背を向けた。
足に絡まる、重い砂。
美しく輝く海をあとにした。