宝石よりも
「さて」
男を摘まみだしたあと、女の子を振り返った。
女の子はぴくりと体を強ばらせる。
「俺は泥棒だよ。どうする?場合によっては、口封じをするかも。顔も見られてるしね」
女の子は首を振った。
「あなたは命の恩人だもん。警察には言わないよ?」
にこりと笑って、少し首を傾げた。
俺は改めて女の子を観察してみた。
着ている高校の制服からすると、俺と変わらないくらいらしい。
ストレートの茶色い髪。大きなまるい目には光が灯ってキラキラしている。
単純に、可愛い、と思う。
「泥棒さんに、これあげる」
そう言って、女の子はつけていたネックレスを俺に差し出した。
ハート型のちっちゃなルビーがついた華奢なネックレス。
「は?なんで?」
俺は受け取りながら首を傾げた。