宝石よりも
毒リンゴ
あれから今日まで、俺は一度も七海に会いにこなかった。
七海の治療代を稼ぐために、毎日バイトして……
泥棒も始めた。
「この花、直樹が持ってきてくれたの」
七海が花瓶を指差しながら、嬉しそうに顔を綻ばせて言った。
「毎日いろいろ持ってきてくれるの。お菓子とか、UFOキャッチャーでとったぬいぐるみとかね」
私はそんなに子どもじゃないんだけどね、と。
なるほど。
あいつは毎日ここに来てるんだ。
さすがだね。
俺がこの前の直樹の必死さを思い出してふっと笑っていると、七海が真剣な顔になった。