宝石よりも
そういえばリンゴを持ってきていたのだということを思い出して、鞄からリンゴを取り出して七海の前にある机に置いた。
「きれいなリンゴ」
七海の言うとおり、机の上の赤いリンゴは光に反射して美味しそうに光っていた。
七海はそれを手にとってしばらく眺めたあと、白い歯を赤いリンゴに突きたてた。
カリッ
七海はにこりと笑ってみせた。
「美味しい」
「それはよかった」
よかった。
俺の贈ったリンゴは
毒リンゴなんかじゃなかった。