宝石よりも

七海はシャリシャリとリンゴを食べながら俺を見上げた。



「いいの?まだこんなところにいたりして」



七海の質問の意味がよくわからなかった。


なんで七海がそんなことを聞くの?



あ、早く帰って欲しいのか。



「直樹来んの?」



「違うよ!全く、カイは」



七海は呆れたように首を振った。



「彼女はいいのかって言ってるの!」



「は?」



俺が首を傾げると、七海は少し下を向いてシーツに視線を落とした。



「直樹、カイの彼女に悪いことしたって落ち込んでたから」



ああ……


もしかして美夜のこと?



「いいんだよ、ケンカしたから」



……嫌われちゃったしね。



俺の言葉に、はぁ?と七海が顔を歪める。



「まさかそれ、私が関係してるんじゃないよね」



七海の目がギロリと光った。



「………」



俺はちょっと押し黙ってしまった。


違う、といいたいけれど、美夜が機嫌を悪くした流れに七海がいたような気も……する。

< 75 / 103 >

この作品をシェア

pagetop