宝石よりも
七海はシャリシャリとリンゴを食べながら俺を見上げた。
「いいの?まだこんなところにいたりして」
七海の質問の意味がよくわからなかった。
なんで七海がそんなことを聞くの?
あ、早く帰って欲しいのか。
「直樹来んの?」
「違うよ!全く、カイは」
七海は呆れたように首を振った。
「彼女はいいのかって言ってるの!」
「は?」
俺が首を傾げると、七海は少し下を向いてシーツに視線を落とした。
「直樹、カイの彼女に悪いことしたって落ち込んでたから」
ああ……
もしかして美夜のこと?
「いいんだよ、ケンカしたから」
……嫌われちゃったしね。
俺の言葉に、はぁ?と七海が顔を歪める。
「まさかそれ、私が関係してるんじゃないよね」
七海の目がギロリと光った。
「………」
俺はちょっと押し黙ってしまった。
違う、といいたいけれど、美夜が機嫌を悪くした流れに七海がいたような気も……する。