宝石よりも
「カイはもう、私から解放されていいのよ」
にこりと笑う七海の笑顔に救われた。
カチカチと時計の音が部屋に響く。
「どうか自由に生きて」
七海の笑顔をしばらく見つめたあと、俺は七海に背を向けてドアに手をかけた。
病室のドアをそっと開いたとき
時計の針が、真昼の12時を指した。
「じゃあね、カイ」
「じゃあね、ナナちゃん」
病室から出てドアを閉めた。
廊下の窓から差し込む明るい太陽の光が俺を包んだ。