宝石よりも
「美夜ちゃんに用があるの?」
「ええ、まぁ」
おばさんは少し残念そうに眉を下げた。
「実は美夜ちゃんね、昨日からここ出てっちゃったのよ。いつ戻ってくるかわからないって。もしかしたらもう戻って来ないかもしれないわね」
さみしいわ、なんて言いながらおばさんは自分の部屋に入っていった。
俺は美夜の部屋の前で、閉まったままのドアを見つめて呆然とした。
美夜は出ていった?
もう俺には会いたくないってこと?
俺はどうすることもできないで、ただそこに立ち尽くしていた。