宝石よりも
月夜
私は高価な家具が並ぶ部屋の中で、ふかふかと柔らかなソファに座って窓の外を眺めていた。
わかってる。
いくらここでカイを待っていたって
カイは絶対に来てくれないことくらい……
柔らかすぎるソファが気持ち悪い。
立ち上がって、窓ガラスに指を滑らせた。
「カイ……」
カイとはまだケンカしたままなのに。
まだ謝ってもいないのに。
私はどうしてこんなところにいなくちゃいけないの?
……会いたいよ、カイ。