宝石よりも
女の子はいいの、と言って俺が返してこないようにネックレスを押しつけた。
「でね、お願いがあるの……」
女の子は俺から手を離したあと、言いにくそうに目線を落とした。
しばらく、何も言わない。
「何?」
焦れた俺が尋ねると、女の子は眉を下げて俺を見上げた。
「明日の夜も、来てくれる……?」
女の子はそうお願いしておいてから、俺の顔色をうかがった。
この子の意図が読めない。
明日の夜、俺を警察にでも突きだすつもりなのかな。
そう思いながらも、俺は答えていた。
「……いいよ?」
ほんと、なんでかな。