宝石よりも
静かな夜。
人気のない暗い浜辺に一人立って、ただ黙ったまま月を見上げた。
闇夜に浮かぶ美しい月は、一体何を思ってそこに佇んでいるんだろう。
海に写る姿さえ、濁ってしまってわからないというのに。
目を閉じて波の音を聴いた。
美夜のいない夜はこんなにも静かだったということを忘れていた。
消えてしまった美夜を想う。
気づかなかった、君への気持ち。
こんなに大切だったなんて
こんなに必要としていたなんて……
綿飴みたいに甘く笑う君の笑顔に
また会える日は来るのかな?