宝石よりも
夜の訪問
約束どおり、俺は真夜中に女の子の部屋を訪れた。
窓を勝手に開けて入り込んできた俺に気づくと、嬉しそうにかけよってきた。
「ありがとう、泥棒さん。約束守ってくれて」
俺の手をぐいぐい引いて、リビングの方に招き入れた。
リビングのテーブルの上には二人分のティーカップが用意してあった。
「どうぞ座って」
女の子に勧められ、向き合って座った。
途端、心底嬉しそうな目で見つめられて、不覚にも心臓が跳ねてしまった。
「私は月山美夜っていうの。泥棒さんのお名前は?」
彼女は俺の方に身を乗り出してきた。
にこにこと聞かれて、俺は少し困ってしまった。
「それ、言わないとだめかな?」