宝石よりも
宝石よりも
「いよいよ明日だね。楽しみだ」
そう言って私の髪を一房とって口づける由良に、そっと目を閉じた。
私はまるで人形のよう。
私は明日、由良と結婚する。
それがこの家での私の役目。
私が生きていくためにやるべきこと。
彼が屋敷を出ていくと、私はいつもの通り窓辺に近寄った。
月を見上げてあの人を想う。
夢でもいいから。
カイに会いたい。