闇の花~2人の殺し屋~
その時は気にしていなかったけど、前に山岸の話を聞いてピンときた。




「…そう。俺には“足りないもの”があるから『ラック』っていう名前にしたんだ」


山岸は苦笑いした。





「そっか…」


私は呟いた。





「わりー、わりー。遅くなった」


そう言いながら冷さんが奥から出てきた。





「それじゃあ、私は帰るわね」


私はイスから立ち上がった。





「えっ!?もう帰るのか、月乃?」


山岸は私を見上げた。





「えぇ。今から約束があるから」


そう言って私は冷さんのほうを見た。




冷さんはそれだけで意味を理解してくれて、ただ頷いてくれた。




「それじゃあ」



私は入口のドアを開けた。

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