short×short
もうすぐ恋する
最悪だ。
なに、こんな時に限って寝坊しちゃってるんだよ!!アタシ!!
今日だけは遅刻しちゃダメなんだよー!!!!
だって、だって…
今日の門番、田沼(先生)なんだもん!!
遅刻したら何十分も説教されるし、放課後残らなきゃなんなくなるんだもん…。
「がんばれ~(笑)」
必死に走っているアタシの横を、余裕で自転車で通り過ぎていく大宮。
…ムカつく!
「くそったれー!!!!」
ちょっと学校から遠いからって自転車通学出来るなんて…
大宮とアタシは家近いのにさ!?
「乗してけ~」
「ん?人に物を頼む時は?」
…ムカつく!
「乗してって下さい、大宮さん。いや、大宮様!!」
「どうしよっかな~(笑)」
「オイ!」
「しょうがね~な~(笑)」
大宮はポンッと自転車の荷台を叩き、「乗れよ」と言った。
「あざーっす、大宮様!!」
「よろしい、(笑)」
大宮は、さすがに男の子で、人より少し(かなり?)重いであろうアタシを乗せても余裕な顔で自転車をこいでいく。
(最近、太りました…)
落ちないように、大宮の背中に遠慮がちに掴まっていると
小学生の頃は細かった背中も、いつの間にかガッチリしていて"男"と感じる。
「重くな~い?」
「重い。」
「…ごめん」
「嘘だって(笑)全然軽いッつーの」
「………、」
今日の通学中はいつもより大宮に胸がドキドキした事はナイショ。
END