short×short
ご近所のスーパーマン









アタシの近所には、
スーパーマンがいます。





「ぅわ~ん(泣)」



「大丈夫か?泣くな~」





学校の帰り道、迷子の子がいたら、逞はその子の前で目線をあわせて頭をくしゃくしゃと撫でた。





この男は、





右に荷物を抱えているお年寄りがいれば持ってあげ、





左に泣いている子がいれば慰めめに行く。





そんなお人好しな逞の事をアタシは心の中で、『ご近所のスーパーマン』と読んでいる。





いや、多分そう呼んでいるのはアタシだけでは無いと思う。





だってこの前向かいの家のおばさん達が





「木村さんとこの逞くん、いい子よ~」

「あ~、ホントに優しい子よね~」

「娘の婿に欲しいわ~」





なんて会話をしていた。





残念ながら、逞はアタシの婿になるんだけどね。



(アタシが勝手に言ってるだけ)





でもね、そんなスーパーマンを好きになるなっつー方が無理だよ?





「たーくーまー♪」



「おぅわ!」





アタシは逞に向かってダイブした。当たり前に逞はアタシを上に乗せて尻餅をつく。





「いってー(笑)」





こんな時にも笑顔で、アタシの頭を撫でる。



(勘違いするっつーの)





「逞、大好き!」





ご近所のスーパーマン、アタシだけのスーパーマンになってくれませんか?





END
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