short×short
誰も知らない夏





あれは、僕が高校生の頃の話。





たしか夏のクソ暑い日で屋上でサボっていたんだ。





そこには、先客がいて、





「あら、貴方もサボり?」





フフッと、煙草を片手に色っぽい笑顔を僕に向けた。





「貴女こそ煙草なんか吸って…」



「先生達にはナイショにしといて、」





彼女は口に人差し指を当てて、先程とは違い、子供っぽい表情を見せた。





「…言っても誰も信じないですよ」



「フフッ、それもそうね(笑)」





彼女は一応学校では真面目なキャラで通っていた。





「貴方も私と屋上でサボってたなんてバレたくないでしょ?」



「まぁ、そうですね」





僕も真面目で通っているのだ。この時だって、頭痛で保健室にいる事になっている。





まぁ、皆が知らない彼女を他の奴には見せたくないというのが、僕の本音だったが。





―キーンコーンカーンコーン





授業の終わりを告げるチャイムが学校で鳴った。





「そろそろ行かなくていいの?」



「…まだ、いいです」



「あら、何で?」



「、解ってるくせに…貴女といたいんですよ」





僕が溜め息混じりに、彼女に言うと、





彼女の方はいたって余裕で又フフッと笑みを浮かべた。





そして、僕の方へ歩いて来て顔を近づけてきた。







そのまま唇が合わさった。





「アタシはそろそろ行くわ」



「そうですか」



「じゃぁね、」



「はい。………先生」






これは僕と君だけの秘密。





END
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