short×short
バスケ馬鹿とわたし
バッシュが床に擦れる音。
ドリブルをつく音。
ボールがネットを通過する音。
朝の静まりかえった体育館に響きわたる音達。
そこにいるのはわたしと、そこで朝練をしているバスケ馬鹿。
スパッ
スパッ
彼の手から放たれたボールは、吸い込まれる様にネットを通り抜けていく。
ドリブルは手にくっついてるのかと思いたくなる程自由自在。
この上手さには、やっぱり人一倍の努力が隠れているわけで。
「みてた!?みてた!?
10本も連続でスリー入ったんだけど!!」
「スゴッ!」
「ひひっ、(笑)」
そして、こんな無邪気な彼でもあるから好きなのだけど。
「来週試合だっけ?」
「うん!」
「勝ってね」
「あったりまえ~♪」
彼の朝練を見るのが日課になってしまったわたしは、どれだけ暇人なのだろう…。
どこまでもバスケ馬鹿な彼だから、このわたしの気持ちを伝える事は無いけれど。
それでも、わたしはずっと彼を、バスケ馬鹿を、見ています。
END