short×short
さよならまであと3秒
ベンチに座る貴方の隣で、本当は来てほしくもないバスを待つ。
たぶん貴方は、もうすぐ始まる新しい生活にワクワクしている事だろう。
ついこの前突然、絵の勉強しにフランス行ってくる、なんて言うから冗談だと思った。
冗談であってほしかった。
行かないで、なんて口が裂けても言えないし、待ってる、とも言えなかった。
携帯を開けて時計を見ると、もうバスが来る時間。
「もう行くよ」
そう言って立ち上がる貴方に
「頑張ってね」
そう言うのが精一杯だった。
キャリーバッグをひいてバスに乗り込む貴方は、3秒後…
さよなら、と言うだろう。
END