short×short
ただ愛する人へ
「本当に俺で良いのか?」
白いスーツに身を包んだカレは聞くのです。(こんなおめでたい日なのに)
その質問は「白戸じゃなくて、本当に俺で良いのか?」と聞きたいんだろうけど。
白戸君とは、わたしの元カレとでもいいましょうか。当時はとてもとても大好きだったヒトです。
ですが、今はカレだけですよ。
「何度言わせるんですか。良いんですよ」
良いんですよ。カレが。
顔が整ってるのは、白戸君。
運動力が高いのは、白戸君。
勉強が出来るのは、白戸君。
お稼ぎが多いのは、白戸君。
それでも、カレが、良いのです。
「本当に本当よ?アナタが良いのよ。アナタじゃなきゃ嫌よ。」
「そっか、」
「ええ、そんなの当たり前じゃない。わたしはすきでもないヒトを夫にしないわ」
「俺も。すきでもないヒトを嫁にしない」
「アナタと居られてわたし幸せよ?」
「なら、俺も幸せだ!」
にかっと笑うカレが、白戸君よりも、他の誰よりも、世界の誰よりも、良いのです。
理由を聞かれれば困るけれど、だって愛するのに理由なんてつけられないじゃない。とにかく、カレが良いということだけが理由になるのかしら。
本当に本当に。愛してしまうのです。
END