生きる。
日に日に進行していくエイズ。
頻繁にノイズを見ることになっていた。
それでも、それは一時的に過ぎない。
今はなんとか、進行は薬でとめられている。
嬉しかった。
「和泉」
…また来た。
涙花の笑顔は今の俺にとって苦だった。
勉強をしている昼休みも、教室移動のときも。
常に俺の後ろを歩き、ハラハラしながら俺を見てる。
今だって、笑顔後ろには、同情が隠れていることを俺はしっている。
「…」
単語帳を開きながら、視界に涙花の姿が入るのを拒む。
「和泉ったら」
ヒラヒラと単語帳の向こうで揺れる涙花の髪が
あまりにも愛しくて
俺は逃げるしか道はないと思った。
「京香ちゃん、一緒に移動しようよ」
「…え?あの…」
「いいから。¨羽生¨なんて」
¨羽生¨なんてどうでもいい