生きる。
ーとうとう受験がやってきた。
俺は本を読みながら、自分を落ち着かせる。
ほんの内容なんか、わからない。まるで、フランス語の本を読んでいるようだった。
大丈夫…
テストは完璧だった。後は面接だけなんだから。
受かる自信は持っている。
ー受験生は試験監督に呼ばれた人から、面接室へと来てください。ー
繰り返される放送。
さきほど試験を受けた教室で、俺は待つ。
大丈夫、大丈夫…
「203番、早瀬和泉。面接室へ」
少し怖い試験監督に、俺は呼ばれた。
本を置き、席を立つ。
面接室まで、大して距離はないのに、足が震える。
もし、落ちたらと思うと…
「203番です。よろしくお願いします」
礼儀作法は完璧だ。笑顔も完璧。
俺は好青年だろう。
席に座ったら、質問の嵐だった。基本的なことばかりで、ホッとした。
「…では、最後に。なぜこの学校へ?あなたはもともと西川で有名でしょう」
それはどういう意味か、分からなかった。
¨エイズ¨で有名なのか、¨成績¨で有名なのか。
俺には、エイズのことで。にしか聞こえなかった。