生きる。
一つのウソも隠せない俺 izumi side 9
俺は入学式に出席した。
でも、普通に出るだけじゃ面白くなかったから、外見を変えてみた。
…エイズだと知っている教師たちに¨俺は強い¨と見せ付けたかったからかもしれない。
¨自分はエイズじゃない¨と思いたかったのかもしれない。
だから、黒髪を校則にひっかからない感じに茶色くした。
制服も着崩した。
おもいっきり、ヤンキーになってみた。
「¨早瀬¨と¨増田¨?!」
俺は左京と目を合わせた。
ー…誰だ?
この学校で俺たちのこと知ってる人なんか、そうそういない。
目の前には、小柄な黒髪の男の子がいた。
「…何?俺らと知り合い~?でもごめん!俺、君のことまったくしらんわ~」
はきなれない革靴をわざわざ音をたてて、男の子に近づく左京。
…おいおい
左京はもともとでかいくせに、春休みの間にもけっこう背が伸びて、俺を越していた。
小柄な男の子にとっちゃ、怪物のようなもんだろう。
そりゃ怖いよな~…俺もちょっと最初びびったし。
関西弁だし…
「左京、やめろよ」
「何が?俺、なんかしてたん?なんもしてへんで」
「いいから。…君、名前は?」
左京を後ろに下がらせながら、ゆっくりと歩み寄る俺。
咲こうのせいでこわばっていた顔は、ホゥと安心したように緩んだ。
「…末永琉雨。ここの寮、3人部屋なんだけど、俺お前らと同室なんだ」
ブスッとした顔でいう末永クン
「そうな~ん?それはよろしゅーな!琉雨ちゃん」
左京はブンブンと握手している手を振り回した。
「琉…琉雨ちゃん?!なんでそうなんの?」
「琉雨って女みたいやな?!ええわ~かわえ~わ~」